私語夜話〜乙女04〜「王国一の青年騎士は天然ド鬼畜!?〜もうお姫様じゃいられない〜」
アヴァルド大陸の東側、古くから細かな領地争いを繰り返してきたダィング諸国の中でも長い歴史を持つ大国ガルシア王国。 私は現ガルシア王、正妃エルラーナの三女として生をうけた。 王族として厳しい教育を受けてはきたものの、何不自由のない暮らしをさせてもらってきた。将来は国内の有力貴族か、友好国の王侯貴族に嫁がされることになるだろう。場合によっては、敵対国への人質に出されるかもしれない。 若くしてすでに姉二人とは美貌に差があると知られていたので、良縁に恵まれる可能性は低いだろうこともわかっていた。 だからと言うわけではないけれど、自分なりに国の力になろうと努力してきた。 女性の身では国政に参与できないので限りがあるが、国のため、国民のためにできることを考え、立場さえ利用して慈善活動を行ってきた。 それを煙たがる貴族がいるのも知っている。早くどこかの国に嫁がせてしまえ、という声も聞いていた。 二十歳もとうに超え、いよいよ城内での腫れ物扱いが目立ってきた頃。水産資源問題で争っていた国との小競り合いを、力でねじ伏せた勇猛なる青年騎士がこう言った。 「此度の報奨として、第三王女を娶らせていただきとう存じ...