DLsite 猫が謳う玉響の唄
僕のいるべき場所は何処……?辻里弓弦は人嫌いの少年だった。彼が興味を持つのは動物、それも猫だけだった。ある日、一匹の子猫に出会って彼の運命は大きく変わっていく。 加筆修正+書き下ろしSS『猫が見る夢は夢なりとて。』あり。いつものように幼馴染みと彼は遊んでいた。それは当たり前の風景で、一度も疑問に思ったこともない。 彼は友だちと楽しく、楽しく燥(はしゃ)いでいた。いつでも時間を忘れるほどに。当に子供だったから実に無邪気そのものだった。 そう――あの日が来るまでは。 ちりん。 ふと耳元で鈴が鳴る。 ちりん。 もう一度鳴った。 音の方に振り向けば、そこには彼と同じ年頃と思われる少女が立っていた。とても豪奢な着物を着ており、明らかにこの場所には似つかわしくない。けれど少年にはとても綺麗に映った。 彼女の手にはたくさんの鈴が連なっている棒のようなものを持っている。鈴の音はきっとそこから鳴ったのだろう。 暫く眺めていると彼女は優しく微笑み、おいでおいでをして彼を待っている。 自分が少女に呼ばれていることを理解し、続いて彼女の元に行くべきだと思った。 だから彼は今いるところがどんな場所かなんて考えな...