私語夜話〜乙女03〜「今日、憧れの紳士を攻略します〜年上男性を手玉に取る方法〜」
キミの作った味噌汁を毎朝飲みたい。 今どき、この言葉をプロポーズに使う人がいるだろうか。 いないとは言い切れないけど、いない可能性が極めて高いとは言えるだろう。 けれど、こう言った人なら知っている。 ボクの作った味噌汁を毎朝飲んでくれないか。 誰あろう、私の父である。 料理人である父が、母に告げた求婚の言葉。 母はそれを受け入れ、私が生まれた。 それから二十と数年、父の背を追うようにして料理人になった私も、是非この言葉を使いたいと思っている。 私の作った味噌汁を毎朝一緒に飲んで、朝食を取るという規則正しい生活をし、三食しっかりと食べることで健康を維持するお手伝いをさせてはいただけないでしょうか、と。 少々回りくどいけど、これだけ言っても、あの人は首を傾げるだろう。 そして目を細くしてこう言うのだ。 ありがとう。でもボクは小食だからね。 違う! そこじゃない! 毎朝一緒に、のところに反応していただきたい! ……のだけれど、きっとあの人はわかっていて話をはぐらかすのだ。 私の思い人――塩野敏矢さん。 またの名を、汐野はや先生、は…… ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆...