




全編バッドエンド短編集
星に見落とされた細やかな祈り4編を収録した短編集。
真実の愛はあまねく呪いを解いていく。
それがハッピーエンドでなくても。死が二人を分かつまで。そう誓った妻の夭逝を受け入れられなかった七ノ助は、愚かしいと分かっていながら妻の戻りを願わずにはいられなかった。
そしてある日、願いは叶ってしまう。
愛する人が帰ってきたのだ――――墓に埋められたその姿で。不死の権能を持つ「死非人(しなずびと)」が当たり前のようにいる世界で、当たり前のように平凡な恋をした。いつか死を迎えることなんて忘れて、今目の前で光る命だけを眼差して、まるで普通の人間同士がするみたいに、ただ貴方との幸せを夢に見た。
その希望を、裏切られるとも知らずに。天才と呼び声高い科学者・フランク博士が、その類稀な脳細胞を使い初めて自死について深く思いを巡らせたのは、花屋で働く可愛いハダリーに恋をしたのだと自覚したその日だった。
年若く美しい彼女に対し、醜い中年の自分。太陽を求める指先は、いつしかその熱によって黒変するまで焼け焦げてゆく。
おかしい、何故だ。恋は美しいはずなのに……養蚕業で富を成し、有り余る絹で川ができるとまで称される絹川の敷地の奥には、人目を憚るようにして、いくつもの蔵が並んでいた。
固く閉ざされ、月明かりさえ立ち入ることを許されない蔵の中に、光り輝く白銀の秘密が眠っている。栄華の裏で人生を奪われた者達の悲鳴と共に―――死が二人を分かつまで。そう誓った妻の夭逝を受け入れられなかった七ノ助は、愚かしいと分かっていながら妻の戻りを願わずにはいられなかった。
そしてある日、願いは叶ってしまう。
愛する人が帰ってきたのだ――――墓に埋められたその姿で。不死の権能を持つ「死非人(しなずびと)」が当たり前のようにいる世界で、当たり前のように平凡な恋をした。いつか死を迎えることなんて忘れて、今目の前で光る命だけを眼差して、まるで普通の人間同士がするみたいに、ただ貴方との幸せを夢に見た。
その希望を、裏切られるとも知らずに。天才と呼び声高い科学者・フランク博士が、その類稀な脳細胞を使い初めて自死について深く思いを巡らせたのは、花屋で働く可愛いハダリーに恋をしたのだと自覚したその日だった。
年若く美しい彼女に対し、醜い中年の自分。太陽を求める指先は、いつしかその熱によって黒変するまで焼け焦げてゆく。
おかしい、何故だ。恋は美しいはずなのに……養蚕業で富を成し、有り余る絹で川ができるとまで称される絹川の敷地の奥には、人目を憚るようにして、いくつもの蔵が並んでいた。
固く閉ざされ、月明かりさえ立ち入ることを許されない蔵の中に、光り輝く白銀の秘密が眠っている。栄華の裏で人生を奪われた者達の悲鳴と共に―――

